トラッカーの特徴
トラッカーとは、1930年代から行われているフラットトラックレースやダートトラックレースで走行するレース用マシンのスタイルにカスタムしたバイクのことです。
レーサーのような無骨さと、ストリートにも映えるファッショナブルなところが人気を集めています。
トラッカーの特徴としては、幅広のハンドル、それに、リアフェンダーがなくエアクリーナーが露出しているスタイルが挙げられます。
また、ブロックタイヤやダウンマフラーが使われていたり、横から見ると向こう側が見えるほど部品を取り除いたチューンアップ(スカチューン)が施されていたりといった点もその特徴の一つです。
トラッカーの歴史
トラッカーはフラットトラックレースやダートトラックレースから発展したスタイルなのですが、実は原点はそれ以前に遡ります。
それは、アメリカで1900年代に人気だった「ボードトラックレース」です。
ボードトラックレースとは、文字通り木製の板を路面に敷き詰め、角度の付いた楕円形のコースで行われるレースです。
最初は自転車競技として行われ、バイクは自転車が練習する時の牽引役として使われていました。
ところが、自転車よりそのバイクを走らせた方がおもしろいということになり、バイク競技へと発展していったのです。
20世紀初頭の当時、バイクはまだまだ原始的で、もちろん現在のような安全装備もないにもかかわらず、ボードトラックレースでは最高時速160kmに達するほどの速さが競われていました。
こうして人気が出たボードトラックレースでしたが、1920年代には世界恐慌が起き、マシンの改造が難しくなったこと、またあまりにも危険であることなども一つの原因として、徐々に衰退していきます。
代わりにスピードを競うレースとして発展してきたのが、フラットトラックレースやダートトラックレースだったのです。
ボードトラックレースのスピードに対する熱狂は、こうして現在まで受け継がれていくのでした。
フラットトラックレースとは、土の路面からなる楕円形のコースを競うレースです。
土煙を激しく巻き上げながらドリフトするバイクの姿は、誰でも一度は見たことがあるでしょう。
あそこで使われているバイクがフラットトラックレーサーで、そのスタイルを取り入れたのがトラッカーカスタムです。
トラッカーの定番バイク
フラットトラックレースで実際に活躍してきたモデルでは、ハーレーダビッドソンの「XR750」が定番中の定番です。
ただし、これはレース用マシンなので公道は走れません。
ただ、このXR750のデザインやノウハウが、現在のトラッカーにも色濃く反映されています。
最近のトラッカーで注目を集めているのが、インディアンの「FTR1200」です。
カウルとシートが一体になっていますが、これこそトラッカースタイルです。
また、ハンドルやマフラーなどにもその特徴が見られます。